球面ミラー
これ以降は、曲率半径16mmの球面凹面ミラーを指定、軸上性能のアパーチャf/4とf/2.3での評価を説明します。最終的には18°の軸外での性能を評価し、ストップポジション、イメージ曲率半径を全視野に渡って最良の性能とするように最適化します。
レンズ系データの定義
f/4で動作するミラーで直径2mmのビームを集光するという仮定で作業を進めます。寸法単位、近軸設定データ、波長、フィールド点などのレンズの動作条件はサーフェスデータスプレッドシート内の二重線より上側で定義します。
サーフェスデータスプレッドシート上でつぎのように操作します:
- Draw Offをマウスでクリックし、Autodrawウインドウを開きます。
ボタン上のラベルがDraw Onに変化し、Autodrawウインドウがアクティブになります。
- レンズ識別子を追加し(32文字まで):Lens:Spherical mirror、グリーンのティックマーク✓をクリックします。
レンズの識別子として別の名前を選択し、その名前の先頭の単語が偶然OSLOの有効コマンド(例えばspe)だった場合、 その名前の入力は拒否され、関連するコマンドが実行されます。
コマンドの実行を回避するにはタイトルをクォーテーションマークでで囲い(”spe”などとし)ます。
またこの段階ではミラーの評価は軸上で行いますので、FieldAngle(フィールド角度)はデフォルト値の1ミリラジアンを変更する必要はありません。
レンズサーフェスデータの入力
次に二重線の下のデータを編集します。第1行目はオブジェクトスペース(物体空間)を代表する行、サーフェス番号0(ラベルはOBJ)です。
新たなレンズを作成しようとするとデフォルトで平行ビームが仮定され、従ってオブジェクトは無限遠方にあり、OSLOではこれは1E20で、1.0000e+20と記述されます。
オブジェクトスペースのデフォルトの媒質(GLASSカラム)はAIRなので、この行で変更しなくてはならない項目はありません。
オブジェクト半径(1.0000e+14)はフィールド角度(後述)からプログラムが計算し、ユーザが直接指定する項目はありません。
次はサーフェス1(AST)を代表する第2行の編集です:
"F/4"を仮定しているので焦点距離は2mmのビーム直径の4倍です。
一方球面ミラーの焦点距離は曲率半径の半分となりますから、RADIUS(曲率半径)値を-16(mm)とします。
この値はサーフェスからその曲率中心までの距離として解釈されます。
この半径の値を負の数値とすることで、飛来するビームに対して暗黙的に凹面のサーフェスを指定したことになります。
GLASSカラムのAIRのとなりにあるグレイのボタンをクリックし、Reflect(hatch)を選択します。
なおReflect(hatch)とReflectとの相違はReflect(hatch)ではレイアウト上でサーフェス裏面にハッチングが描画されることだけです。
THICKNESS(厚さ)を0.000000から-8(mm)に変更します。
THICKNESSは次のサーフェスまでの距離をさし、この場合サーフェス1からサーフェス2までの距離ということになります。
負の数値としているのはミラーでの反射後に光線はローカルz軸の逆の方向に伝播するからです。
サーフェス1ではAPERTURE RADIUS(1.000000)はその隣のグレーのボックス内にASと表示されています。
Aはこのサーフェスがアパーチャストップであることを意味します。
Sはそのサイズが"paraxial solve(パラアキシャルー近軸ーソルブ)"でコントロールされ、軸上ビームと軸外ビームがほぼ切り取られることなく通過するように値が調整されます。
3行目はイメージサーフェス(IMS)を代表し、RADIUSの0.0はイメージサーフェスがプレーンであることを意味します。
ここでもサイズはデフォルトで、"paraxial solve(パラアキシャルソルブ)"で調整されます。
次のスペースのためのボックス(THICKNESS)はデフォーカス値に使用されますが、この時点ではゼロです。
イメージ後の媒質(GLASS)を表示するボックスはもちろんブランクです。
次のセクションに進む前にこのサーフェスデータスプレッドシートを閉じる必要はありません。
次のページでは設定した系の描画とスポットサイズの確認をしてみます。