アパーチャ変更、プロット拡縮、点像分布関数
アパーチャの変更
球面ミラーのアパーチャを3.44に変更して、”回折限界”の性能が維持できるかどうかを見てみましょう。サーフェスデータスプレッドシートでentrance beam radiusを1mmから1.72に変更し、グリーンのティックマーク✓をクリックして確定します。
スポットダイアグラムが描画されているグラフィクスウインドウの任意の位置で右クリックし、Update window using current dataを選択すると、スポットダイアグラムが更新されます。
アパーチャが増加したために収差が増加してスポットダイアグラムは大きくなり、アパーチャサイズに反比例するAiry disk(エアリディスク) はより小さくなりました。
この状態ではほとんどの光線がエアリディスクの外側にあることになり、回折限界とははるかに異なる性能となってしまいました。
焦点付近を拡大観察 - システムの描画
焦点付近を拡大して光線の集まり具合をよりよく観察できるようにしてみましょう。グラフィックウインドウにレンズシステムを描画するにはLensメニューヘッダから Lens Drawing...▶System を選択し、
全てデフォルト設定のままOKをクリックするか、
またはグラフィックウインドウ内スタンダードツールボタンの最初のアイコン Draw system(2D plan view)を選択します。
系は図のように描画されます。
興味のある部分を拡大して表示することもできます。例えば焦点付近の光線経路を高倍率で観察するには、グラフィックウインドウ上で焦点付近をラバーバンドで囲みます。
ウインドウ内で二回左クリックするとフルフレーム表示に戻ります。
このズーム機能は”Autodraw”ウインドウを除く全てのグラフィクスウインドウで動作します。
拡大されたプロットを観察すると現在の位置より右に、より良好なフォーカルプレーンがありそうです。
最良のイメージサーフェス位置の探索
ではこの変更後のアパーチャサイズで、軸上のグリーン光で最良のイメージ品質が得られるようなフォーカルプレーン位置を選択してみましょう。フォーカルプレーン位置はOSLOに搭載されている最適化機能のひとつ、"autofocus(オートフォーカス)"を使用して簡単に見つけることができます。
サーフェスデータスプレッドシートが開いていない場合はこれを開き、イメージサーフェス(表記 ”IMS”)のthicknessの隣にあるグレーのボタンをクリックし、Autofocus-minimize RMS OPD...▶On-axis(monochromatic)を選択します。ます。
この場合、RMS OPDは二乗平均の"optical path difference(光学光路長差)"(または波面収差)を意味します。
このオートフォーカス動作はRMS OPDを最小化するフォーカルプレーンを探し出し、イメージスペースのthicknessとして必要な移動量を入力します。
イメージスペースに先立つスペースのthicknessは変更されずに維持されます。
テキストウインドウのLenヘッダ上でクリックしてレンズデータをリストすると、デフォーカスの必要量を知ることが出来ます
イメージプレーンのthicknessとして表示されるデフォーカスの値は0.023809です。
ミラーからイメージまでの実際はデフォーカス値をthicknessに入力されている-8mmに加算した値です。
軸上点像分布関数(PSF)
では、OSLOが決定した新たなフォーカルプレーンを採用した系は”回折限界”となっているでしょうか。
スポットダイアグラムは点光源からの光線のイメージ内での光線交点の分布を表示しますが、回折を考慮しないため幾何学的な近似を与えるに過ぎません。
これに対し単色点光源のイメージ内の真の光分布をプロットするのが点像分布関数です。
点像分布関数は以下の手順で表示させることができます。
- Evaluateメニューヘッダからspread Function▶Plot PSF Map/contour...を選択し;
開いたSprdダイアログウインドウで;
- Gray scale mapラジオボタンをクリック.
- Monochromaticラジオボタンをクリック.
- Size of patch on imagesurfaceに0.01をタイプ.
- Normalize to peak of PSFラジオボタンをクリック.
- Direct integrationラジオボタンをクリック.
- Number of lines/points in drawingに128をタイプして
- 最後にOKをクリックします。
マップ中央最大付近に明るいリングがあり、右側のスケールの最上部付近に0.8123と表示があります。
この数値は”Strehl ratio(ストレールレシオまたはシュトレールレシオ)"と呼ばれ、点光源のイメージの最大強度を理想的な(収差を持たない)レンズのエアリ回折パターンの最大強度で正規化した数値です。
Maréchal (マレシャル)クリテリアではこのStrehl ratio値が0.8を超えていればそのレンズシステムは”回折限界”と言える、としています。
したがって、新たに探索したフォーカルプレーンで軸上イメージは回折限界となりました。
レンズ描画での光線の延伸
光源は無限遠方にあるはずですが、レイアウトプロットではミラーに入射する光線はミラー直前から発しているように描画されています。これをより手前から描画されるように調整してみましょう。
メインウインドウツールバー上のアイコンをクリックしてLens Drawing Conditionsスプレッドシートを開きます。
Initial distanceの後に16を入力してグリーンのティック✓でスプレッドシートを閉じます。
次のページでは軸外光路長差のプロット、システムの最適化-スライダホイールの利用、最終デザインの評価、の操作について説明します。