イントロダクション

TracePro(以降トレースプロ)はオプトメカニカルシステム内での光線の伝搬をモデリングするのに理想的なソフトウエアツールです。モデリングはレンズデザインプログラムやCADプログラムからのオブジェクトのインポートあるいはトレースプロ内でのソリッドジオメトリの作成によって行ないます。
光学的、機械的プロパティはマテリアル(材質)とサーフェス(面)に適用されます。ソースからの光線はモデル内を伝搬するに従い、光束の部分部分が吸収、正反射、透過、蛍光、散乱に分配されてゆきます。
トレースプロで次の項目が解析・観察できます:
  • 照明システム、結像システムの光の分布
  • コンポーネントレベル、システムレベルでの射出光束、吸収光束、入射光束
  • カンデラ分布
  • スループット、ロス、システム透過率
  • 照明効率、照明のアピアランス
  • 偏光効果
  • 白色LEDに使用されているフォスファの蛍光効果
  • さまざまな条件でのモデルの外観

ソースのタイプ

光線追跡のために放射させる光線を定義する方法は大きく分けて、Grid(グリッド)ソースSurface (以降サーフェス)ソース、File (以降ファイル)ソース、の三種類あります。
照明アプリケーションで使用されるLEDやランプをモデリングするのに有用なのはサーフェスソースファイルソースです。
サーフェスソースはソリッドオブジェクトの単一または複数のサーフェスからユーザが定義する角度分布と波長分布で光線を放射します。下の図はソースとしてのプロパティをサーフェスに適用するダイアログです。
サーフェスソース適用ダイアログ
一方ファイルソースは光線データをリストしたファイルをTraceProモデルに挿入することによって、光源とするタイプのソースです。
ファイル内のリストは各光線のスタート点のXYZ座標、各光線の方向を示すXYZ方向ベクトル、それに光束で構成されています。
ファイルソースはLEDやランプの特性付けのサービスを提供するRadiant Imaging, Inc社の実測分布データの使用や、Raidant Imaging, Inc.のソースライブラリからProsourceTMプログラムなどで作成することができますし、TraceProでの解析結果から作成することもできます。

サーフェスソースプロパティジェネレータ

トレースプロのメインメニューから起動できるサーフェスソースプロパティジェネレータで、製造元が提供するデータシートから簡単にトレースプロで使用するソースプロパティを作成することができます。
このツールはLEDのソースプロパティを作成するのに特に有用ですが、そのほかの任意のタイプのライトソースについても同様に利用できます。
多くの場合LEDの製造元は分光分布(下の左の図:Philips Lumiledsのcool-white LuxeonTM Rebel LEDの代表データ)と、極座標あるいは直交座標表現の放射パターン分布(下の右の図:Philips Lumiledsのcool-white LuxeonTM Rebel LEDの代表データ)を開示しています。
次のページからはこれらのプロットを使用し、サーフェスソースプロパティジェネレータ上で実際にLEDのモデリングをする様子をステップバイステップでご覧いただきましょう。各ページの下部に設置されたページナビを利用してブラウズしてください。
造元から開示されるプロットの例
次のページからはTraceProに標準実装されているサーフェスソースプロパティジェネレータを使用してみます。

お知らせ

  • トレースプロバージョン2019.1がリリースされました。開発元のサイトからダウンロード/インストールすることができます。